Tel:0569-21-1730 浄土真宗 真宗大谷派 坂田山 順正寺
愛知県半田市堀崎町1丁目58番地

2017/01 法蔵菩薩物語

 「アーラヤ!」
 テレビから聞こえてくるこの言葉に、思わずハッとした。どうやらそれは、アニメーションに登場する人物の名前らしい。
 私たちが読む「正信偈」の1ページ3行目の頭に出てくる。「法蔵菩薩」の法蔵。この言葉の原語の発音がアーラヤである。  そのアニメの原作者が意図して使ったのかは知らないが、意外な状況で飛び出してきたそれに驚くばかりであった。
 誰でも、ヒマラヤと言う山脈は知っているだろう。
 インドの北、この地球上で一番多くの高い山々を抱える未開の地である。山々の谷には多くの氷河を抱え、その雪解け水は永い時間をかけて数千キロを流れて海へと注ぐ。  それは「ヒマーラヤ」と発音され「雪の蔵」という意味だ。なるほどと、誰でもその意味に納得する。  アーラヤという言葉も同じ語源で、法の蔵という意味で古来より仏教の聖典で用いられてきた。  乾燥した大地に生活していても、遠く見渡せばヒマラヤの雪に覆われた山々が見える。  インドの大地で生活する人たちににとっては、ヒマーラヤとアーラヤ、雪の蔵と法の蔵。生活とともに在る言葉として親しまれたに違いない。
 正信偈に登場する法蔵菩薩とは、阿弥陀仏が覚(さと)りに至る前の名前だ。
 法蔵菩薩因位時 法蔵菩薩(仏になる前の種因)として行を勤めているとき。
在世自在王仏所 自らの師である世自在王仏の元にましまして。
 法蔵菩薩の物語はこのように始まる。
 法蔵は、生きとし生けるものすべてを救いたいと願い、それを実現する仏となるために、世自在王の下で長い間修行する。  そしてついに仏となって、生けるものたちのために行動を起こす。  この話は現実の話と言うより、神話的な要素が含まれている。  法蔵の長い長い間蓄えられてきた慈しみのエネルギーが雪解けを待って解き放たれていく。  氷が何千年の時を経てとけて流れ出す。  その水も数千キロも離れたところまで達する。  遠くの山々に蓄えられた白い雪は、永い時間と長い距離を経て自分の生活するところまでやってくる。  それで人は、体を清めのどを潤す。  「これは私の水だ。」  と、言えるものなどどこにもない。  インドでは雨期以外はほとんど雨が降らない。  大地に生活する人にとって、水は尊い。  自分の命と同じほどに尊い。  人はそこから多くを学び、祈りを捧げる。  住む場所は違えども、私たちの体もその水で創られているのだ。
順正寺 住職

六角堂ステンドグラス

ステンドグラス

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