Tel:0569-21-1730 浄土真宗 真宗大谷派 坂田山 順正寺
愛知県半田市堀崎町1丁目58番地

2018/07 生き心地の良さ

 長い人生、生き心地の良さは大事なことだ。
いつも良いときばかりとは限らない。時には思いもよらない出来事が降ってきて、それでもその状況を打開していかなければならないことがある。
 日本は自殺の多い国のようだ。先進国の中でもワースト一位。年間にして三万人以上の人が自殺を選択してしまうという。  そんなぎりぎりの状況のとき、自殺を選択してしまうのか別の方法を模索するのか、その要因となる事柄が明らかになってきた。

 四国に海部町という町があるそうだ。
太平洋に面し豊かな自然と温暖な気候。過疎化と少子化の問題を抱えた、いわばありふれた田舎の町である。
 日本の中にあってこの町では自殺を選択する人がきわめて少ないということが分かってきた。研究者たちはその不可思議な町の現象に注目している。

ハート

 ある研究者がこの町を四年にわたり多方面から調査した。住民へのインタビュー・アンケート、地域の風習習慣、健康調査など。そしてその調査結果は興味深いものとして発表された。

 太平洋に面した密集した居住区で生活する海部町の人たちは、周囲の人たちのすることなすことに興味津々だ。他の地域から花嫁がやって来ると自ずと噂話のターゲットとなる。花嫁にしてみたら何処へ行くのも何をするのも、人に見張られていると思ってしまう。
 そんな嘆きに対して夫は、
「町のもんはあんたを監視しとるんやない。  関心があるんだ。」
と諭したそうである。

 監視されていることと、関心があるということは、その性格上全く違う意味を持つ。つまり自分たちのコミュニティーに相手を受け入れるための、まあ前段階の興味深さを表しているに過ぎないのだ。
この夫はすばらしい洞察力を持ち合わせていると感心する。
海部町の人たちは、密集した地域で暮らしてはいるが、精神的には緩やかにつながって生活しているようだ。 立ち話程度のお付き合いの比率が高いという。隣人には深く関わりすぎないようである。
逆に隣人と緊密な関係を保っているほど、助けを求めることに抵抗が強まるようだ。ゆるやかな関係を保っているほうが弱音を吐きやすく、いざという時に助けも求めやすいようだ。

 また、海部町の町議会でのことである。
新人議員であっても古参議員と同等に扱われ、その初日から積極的な発言を求められるというらしい。年齢が行かなくても経験が浅くてもその人なりの町に対する貢献は必ずある。と多くの議員たちは考える。 多くの議員たちが考えるということは、その町の多くの人たちがそのように考えるのではないか。

「自分のような者に社会を動かす力はない。」 と感じている人たちは全国平均の比率に対して、海部町住民はきわめて少ないという結果も出ている。 自分は小さく無力で何も出来ないと考えるのか、 自分でも何か出来ることがある、と思えるのか。 そんな風土の土地を、一度は訪ねてみたいものだ。

順正寺 住職

六角堂ステンドグラス

ステンドグラス

↑ PAGE TOP