Tel:0569-21-1730 浄土真宗 真宗大谷派 坂田山 順正寺
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2019/10/04 インドのお茶 チャイ 

 今年の夏、我が家の次男、弦がインドを旅するという。大学のツアーとはいえ、釈尊を生み出した大地を訪れるのである。若い時代にそこを訪れて何を感じ取るのか、素晴らしい機会だと思っていた。  とにかく旅行中は、体調管理に十分気を付けて健康で仏跡を巡ってくる。これが一番。  まあインド最後の夜に少しばかりはめを外すぐらいにして行きなさい。お腹が痛くなっても飛行機に乗ってしまえば、自動的に日本に着くからと。そんなことを言い聞かせて送り出した。
十三日間のツアーをおえて帰国すると、カルチャーショックであったようだ。  インドという国と日本という国が同じ地球の上に存在していることが不思議な現象のように思えたのであろう。
 インドでは今でも、社会全体が混沌としているらしい。街の中ではクルマ・自転車・人・牛それらが交通ルールがないかのようにひしめき合って流れている。交通ルールを守らないからと言って腹を立てもらちがあかない。生きていくことに必死である。  男尊女卑の考え方は根強く、カーストと呼ばれる身分制度は今でも受け継がれている。不条理な扱いを受けながら生きる人たちは大勢いて、それでも人々はカッと目を見開いて力強く生きているのだ。
 話は変わって、我が家ではカレーを食べるときは必ず、食後のチャイを私が作ることとなっている。インド風のスパイスが効いたミルクティーだ。カレーにはこれが最適だ。  それを飲んでいたせいか、弦はインターネットで色々調べて美味しいチャイの作り方を自分なりに考えていたようだ。茶葉にこだわり、出し方にこだわり。しかし私に言わせれば、彼の作るチャイは洗練されすぎていてインドのそれと違って好きではなかった。  ところが、インドから帰ってきた弦がチャイを作ってくれたのだ。これがうまい。いかにもインドの道ばたでほこりまみれのインド人が入れてくれたチャイ、そのものの味であった。

chai

 インドという国は、マハトマガンジーが非暴力運動で独立を勝ち取るまでの300年間、イギリスの植民地であった。だからインドの人たちは、インドの茶畑で摘み取られる一番茶を飲んだことがなかったそうである。一番美味しいところは、イギリス人が本国に持ち帰り加工して販売する。  私たちが飲むアールグレーとかダージリンと言われる紅茶は、インド産ではあるがイギリス本国に持ち帰られたもの。イギリスはその販売で莫大な富を得ていたのである。  長い間、インドの庶民の手に入るの茶葉は安いものばかり。貧しいインド人たちはその安い茶葉を工夫して美味しいチャイを作りだしたのである。 弦に話を聞いてみると、ツアーの合間、少し時間が出来ると道ばたのチャイ屋で10ルピー(日本円で15円)のチャイを飲んできたそうだ。  インドの人たちが普通に買い物をするスーパーで安くて沢山入った紅茶の葉、そしてチャイに入れる香辛料のマサラが弦のお土産であった。
 一杯のチャイ。この中に文化の違い、そこに至る歴史、そして人間の生きる知恵を垣間見たのではないか。
順正寺 住職

六角堂ステンドグラス

ステンドグラス

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